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旅に誘う映画 004:The Way (2010)

星の旅人たち

SPAIN, Cammino di Santiago

◉旅の誘い度★★★★

◉亡き息子とともに、星の平原を目指して

 スペイン北西部のガリシア地方に位置するサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂には、キリストの十二使徒のひとり聖ヤコブ(サンティアゴ)の墓があり、エルサレム、ローマと並びキリスト教三大聖地のひとつである。タイトルの『星の旅人たち』とは、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼者のこと。本作は、巡礼の途中で不慮の事故に遭い、亡くなった息子の遺志を継いで旅に出たアメリカ人トム・エイヴリーと3人の旅仲間の物語である。

◉STORY

トム(マーティン・シーン)はカリフォルニアに暮らす眼科医。妻の死後、疎遠になっていたひとり息子のダニエル(エミリオ・エステベス)の訃報が突然届く。「世界を見たい」と旅を続けていたダニエルは、聖地サンディアゴ・デ・コンポーラに向かう巡礼の初日、ピレネーで嵐に巻き込まれて不慮の死を遂げていた。

フランスとスペインの国境の町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーを訪れたトムはダニエルの亡骸と対面する。彼が残したバックパックの中には、彼の人生の足跡とも言える旅の思い出が詰まっていた。息子の旅を否定してきたトムだったが、旅先で微笑む自信に満ちたダニエルの写真を見て「僕の道に賛成しなくてもいいけど、勝手に判断しないで」と言ったダニエルの言葉の真意を理解する。トムは「ふたりの関係をやり直す」ために、荼毘に付された息子の遺灰をバックパックに納め、聖地巡礼の旅に出る。


◉星の平原

サンティアゴ・デ・コンポステーラの campus stellae とは、「星の平原」という意味を持っている。昼の強い日差しを避けて、夜に歩く巡礼者たちは、イベリア半島の西の果てに向かって流れる銀河を目印にして旅をした。天に輝く星々のように、地ににも巡礼者が散らばっている様子を想像するだけで、旅心が疼く。スペイン語


◉父マーティン・シーン×息子エミリオ・エステヴェス

本作は、監督を務めたエミリオ・エステヴェスが、父マーティン・シーンのために書いた脚本である。『地獄の黙示録』や『地獄の逃避行』などの出演作がある一方で、家族を養うためにキャリアにはならない数多く映画やTVの仕事を受けてきた名優マーティン・シーン。その彼を父として、俳優として、男として、人間として尊敬している監督エミリオ・エステヴェスが最高のステージを用意し、マーティンは完璧な演技でそれに応えた。マーティンは『星の旅人たち』のインタビューで「この30年間で一番の役。それを息子が書いてくれた。感謝している」と、語っている。 


◉星の旅人たち

◎原題:The Way   アメリカ・スペイン合作/英語/128分

◎監督:エミリオ・エステヴェス

◎製作:エミリオ・エステヴェス、フリオ・フェルナンデス、デビッド・アレクザニアン

◎脚本:エミリオ・エステヴェス

◎出演:マーティン・シーン、エミリオ・エステヴェス、デボラ・カーラ・アンガー、ヨリック・バン・バーヘニンゲン、ジェームズ・ネスビット、チェッキー・カリョ

©2010 The Way Productions LLC All Rights Reserved.



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