◉ Wilderswil - Schynige Platte, Berner Oberland, SWITZERLAND
/シーニゲプラッテ、ベルナーオーバーラント地方、スイス
1893年開業のノスタルジックなシーニゲプラッテ鉄道と高山植物園
◉ユングフラウ三名山を望む山頂を目指して
ヨーロッパ初の登山鉄道は1871年に開業したスイスのリギ登山鉄道だが、その開通に遅れること22年、シーニゲプラッテ鉄道は1893年に営業を開始している。登山電車はインターラーケン・オスト駅からひとつ目のヴィルダースヴィル駅(標高584m)と山頂のシーニゲプラッテ駅(標高1987m)間の7.3km、高低差1403mのルートを52分で繋いでいる。
◉TIPS:ヨーロッパ初の登山鉄道は1871年リギ登山鉄道だが、世界初は意外にもアメリカのワシントン山登山鉄道で、開通は1869年である。
高度が上がるにつれて、左側の車窓の眼下にはトゥーン湖、インターラーケンの町そしてブリエンツ湖が広がる。途中、スイス人画家フェルディナント・ホドラーが好んで描いた場所(ホドラー展望台)の近くを通過する。
さらに高度が上がると次は右側の車窓にベルナーアルプスの絶景が広がる。車窓に現れた白い峰々に、おとなしく座っていた乗客さえも慌ててシャッターを切り始める。
シーニゲプラッテ展望台(標高1967m)からは、アイガー、メンヒ、ユングフラウのユングフラウ三名山やベルナーアルプスの雄大なパノラマを眺めることができる。
◉650種以上の高山植物が広がる植物園
シーニゲプラッテの東側の斜面には650種以上のアルプスの高山植物を集めた、1929年開園の「高山植物園」が広がる。入園料は無料(登山列車の乗車券に含まれている)。初夏から秋にかけて、季節の移ろいに合わせさまざまな種類の花々が咲き誇る。開園期間は、その年の気象状況によって変更があるが、おおよそ5月下旬から10月下旬まで。
植物園は数名のスタッフにより管理されており、冬期のクローズ期間が終わると、開園準備の初仕事は除雪から始まるという。2008年、シーニゲプラッテ高山植物園は、神戸市の「六甲高山植物園」と姉妹提携を結んでいる。
◉山頂ホテルに宿泊して、絶景を独り占め
山頂には、約500席の展望レストランのあるベルグホテル・シーニゲプラッテがある。鉄道の開通により訪問客が急増、前身のアルペンローゼホテルでは収容が賄いきれなくなり、翌年1894年に開業したホテルである。1898年に火災があり1899年に再建されたのが現在の建物で、その後リノベーションされながらも、100年以上前のノスタルジックな雰囲気を今に留めている。
インターラーケンから半日あれば往復できるロケーションだが、できれば1泊して、緩やかな時間の経過と光の変化、そして大自然に包まれた静寂を体験したい。シーニゲプラッテ駅を17時53分発の最終電車が出発した後は、宿泊者たちだけの世界となる。壮大な夕焼けやドラマチックな朝焼けなど、山岳ホテルならではの醍醐味を味わうことができる。
◉シーニゲプラッテ鉄道/Schynige Platte-Bahn
◉シーニゲプラッテ高山植物園/Schynige Platte Alpine Garden
⚫︎https://www.alpengarten.ch/en/home-en.html
◉ベルグホテル・シーニゲプラッテ/Berghotel Schynige Platte
⚫︎https://hotelschynigeplatte.ch
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