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Architectural Design 01 : Church of Santa Maria and Parochial Centre

◉Marco de Canaveses, Porto, PORTUGALマルコ・デ・カナヴェーセス、ポルト、ポルトガル

ポルトガルの建築家アルヴァロ・シザの祈りの定義。

◉サンタ・マリア教会と教区センター

アルヴァロ・シザがで設計したサンタ・マリア教会は、ポルトから東へ約60km離れたマルコ・デ・カナヴェーセスの町にある。車での移動中は厚い雲に覆われていたが、マルコ・デ・カナヴェーセスの町に入る頃には、青い空が広がり、日に照らされた白亜のサンタ・マリア教会が目前に現れた。

高さ130cmに穿たれたスリットは、座れば採光だけの機能となる
高さ130cmに穿たれたスリットは、座れば採光だけの機能となる

南西に向いた正面のファサードの凹字の奥まった壁に、高さ10メートルの大扉がある。北西の入口から礼拝堂に入ると、強い外光から一転し、柔らかな光に包まれる。目の前には黄土色の多数の椅子が整然と並んでいた。その先の壁に目を移すと、シザ特有のデザインである水平で細長く切り取られた開口部がある。スリットからは町並みがのぞき、この教会が町の人々の生活と共にあることを強く印象付けている。

 

教会が高台にあるということと水平窓の高さが130cmであることにより、座ると窓(景色)がなくなり、立ち上がると谷間が見渡せるという趣向である。外部との接触が保つことができて閉塞感に悩まされもしないし、座っているときに外の景色に気が散ることもない。 

高い位置から身廊に差し込む光は時の移ろいとともに変化する
高い位置から身廊に差し込む光は時の移ろいとともに変化する

祭壇に向かうと左右非対称(アンシンメトリー)の空間が広がる。通常の左右対称であるべきという先入観で見ると非常に違和感があるが、風を受けた帆のように大きく孕んだ左手の壁上部から柔らかな光が差し込むようすは、十字架が置かれる場所ではなく、教会を感じさせる空間を目指した、シザによる現代の“祈り”の定義のようにも思えた。

シザデザインの椅子が整然と並ぶ。正面の大扉の内部は温もりのある木製。
シザデザインの椅子が整然と並ぶ。正面の大扉の内部は温もりのある木製。
建設場所のレベル差を利用し、教会の階下に造られた葬儀用の礼拝堂
建設場所のレベル差を利用し、教会の階下に造られた葬儀用の礼拝堂
目線の高さを調節すると教会と教区センターが一体化する場所がある
目線の高さを調節すると教会と教区センターが一体化する場所がある

◉アルヴァロ・シザ・ヴェイラ

Álvaro Joaquim de Melo Siza Vieira(1933- )

ポルトガルを代表する世界的建築家。1933年、ポルトガルのポルト近郊のマトジーニョスに生まれる。19491955年、ポルト造形美術高等学校(現在のポルト大学建築学部)で建築を学ぶ。1955年より建築家フェルナンド・ターヴォラのもとで働き、1958年に独立。プリツカー賞(1992年)、高松宮殿下記念世界文化賞(1998年)ほか多数の受賞歴あり。



Church of Santa Maria and Parochial Centre

◉サンタ・マリア教会と教区センター(1990~2006年)

◎Architects: Álvaro Siza Vieira

 

住所:Rua de Santa Marinha, 199, Marco de Canaveses 

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