ポルトガル、夏の終わり
Sintra, PORTUGAL
◉旅の誘い度★★★★
◉ロケ地自体がもうひとつの主人公
『ポルトガル、夏の終わり』のアイラ・サックス監督は、共同脚本家のマウリシオ・ザカリーアスと一緒にロケハンのためにシントラを訪れましたが、その旅の経験を「まるで宝探しのようだった」と振り返っています。本作では監督が探し当てた宝物(ロケーション )の数々がスクリーンに登場します。
◉詩人バイロンがエデンに喩えたシントラ
舞台となったシントラは深い緑に包まれ、自然と建造物が調和している町で、1995年に世界遺産に登録されています。英国の詩人バイロンがこの世のエデンと謳ったことでも知られ、貴族や宮廷人たちが追い求め続けたひとつの理想郷の形と言えます。そして、その素晴らしい景観はヨーロッパ各地の景観設計に多大な影響を与えてきました。
人生最後の休暇を過ごすとしたら、どんな場所を選ぶか?
主人公の女優フランキーは、 最後の夏を過ごす場所としてシントラを選びます。一族や親友たちを呼び寄せますが、亡き後に愛する者たちが幸せに暮らせるように考えたシナリオを持っていました。ところが、フランキーを取り巻く人たちは、それぞれに問題を抱えていて、彼女の思惑から大きく外れていきます。
スクリーンに描かれるのは、ある夏の終わりの早朝から夕暮れまでの1日。舞台となるシントラは、ときに温かく、ときに神秘的に登場人物すべてを包み込んで、観るものに強い印象を残しています。
北緯38.47度、西経9.30度。
シントラ・カスカイス自然公園内には、「ここに地は果て、海始まる」とポルトガル詩人カモンイスが詠んだ詩の一節が刻まれた石碑がロカ岬にあります。大女優が最期の休暇を過ごす場所として、サウダーデの国、そしてユーラシア大陸の西の果ての地以上にふさわしい場所が見つかりません。
◉ポルトガル、夏の終わり
◎原題:FRANKIE/2019/フランス・ポルトガル
◎監督・脚本:アイラ・サックス『人生は小説よりも奇なり』
◎出演:イザベル・ユペール『エル ELLE』
ブレンダン・グリーソン『ロンドン、人生はじめます』
マリサ・トメイ『人生は小説よりも奇なり』
ジェレミー・レニエ『2重螺旋の恋人』
◎配給:ギャガ
◎公式サイト:https://gaga.ne.jp/portugal/
© 2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FÚRIA
© 2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions
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◉公開時の紹介文からロケ地情報を中心にまとめ直しました。
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