◉Obidos, PORTUGAL/オビドス、ポルトガル
王妃たちが愛した谷間の真珠
ポルトガルには、絵本から抜け出したようなかわいらしい町や村が数多く存在するが、その筆頭がオビドスである。デニス1世(1261−1325)の時代、王妃イザベルがオビドスを訪れ、町の美しさに魅了されたという逸話が残っている。そして1288年、デニス王は王妃にこの町を贈り、王妃の直轄地とする。以来1834年までの数百年にわたり、代々の王妃に受け継がれ、愛されてきた場所なのだ。もちろん現代でも女性人気の高い町である。
イスラム時代に造られたメインゲート、ポルタ・ダ・ヴィラの門を抜けると目の前には白壁の街並みが広がる。青や黄色で縁取られた壁の装飾や咲き誇るブーゲンビリアの花が、この町のかわいらしい印象をより強めている。周囲は城壁で囲まれており、城壁に上ればオレンジ色の瓦屋根と白壁の家々が立ち並ぶ様子を一望することができる。ポルタ・ダ・ヴィラの反対側、町の一番奥まった場所に15世紀の古城を改装したポザーダがある。
◉Pousada/ポザーダ
1942年に国の援助により設立されたホテルチェーンであり、古城や王宮、修道院、貴族の館などの歴史的建造物を利用した宿泊施設(ヒストリカル・ポザーダ)のほか、景勝地や歴史ある場所に新しく建てられたデザイン世の高いポザーダなどがある。オビドス、エヴォラなどのポザーダは部屋数も少なく人気も高いので早めの予約が好ましい。
オン・シーズンの日中は、観光客でごった返しているが、早朝は静寂に包まれている。リスボンからの日帰りでも十分に楽しめるが、オビドスの町に宿泊することで、この町の素顔に出会うことができる。
サンタ・マリア教会は、オビドスの見どころのひとつ。教会内部は全面が17世紀のアズレージョで飾られていて壮観。1441年、わずか9歳のアフォンソ5世(1432-1481)が、10歳のいとこイザベルと結婚式を挙げた場所である。
ポザーダ・ド・カステロは、カステロ(英語のCastle)の名前が示すとおり「城」を改装したポザーダである。塔の内部がスイートルームになっている。
Pousada do Castelo de Óbidos
◎住所:Paço Real, 2510-999, Óbidos
◎さくらんぼのリキュールGinja
さくらんぼを漬け込んだ酒ジンジャ(ジンジーニャとも呼ばれる)が名物のひとつで、チョコレートカップに入れて提供してくれる店もある。この町に限られた酒ではないが、オビドス産は特に品質が高いことで知られている。
◎アクセス(リスボンから)
⚫︎セッテリオス駅などシントラ方面行きに乗り、カルダス・ダ・ライニーニャ駅で乗り換える。所要約2時間30分。
⚫︎バスならば、乗り換えのないテージョ社がおすすめ。カンポ・グランデのバス乗り場から所要約1時間。
Obidos
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